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it was summer vacation.
夏が好きなんだが、今年の東京の8月は雨ばっかりで雰囲気がない。
雨は梅雨くらいにしておいて、カーっと晴れて欲しいね。
海か? 山か? ってな感じにね。

数年前の夏のくそ暑い最中に文章合宿したことを思い出す。
3人も座れば足の踏み場もないくらい狭い部屋に、酒をあおって汗を浮かべた男3人があぐらでPCを広げるなんてのは実に青春だった。
または上野の安ホテルに集まり布団に包まって黙々と文をタイプしたのも実に大人な青春だった。

また、ある時の海のキャンプを思い出す。
知り合いの酒屋に誘われて行ったそこは、ミュージシャンや料理人、酒屋やワインマニアがいて本当に楽しかった。キャンプなのかというくらいに美味いものを飲み食いさせてもらった。海辺のテントでは朝の6時ともなると暑さで参っちまうんだけど、目覚めの一杯に渡されたのが銀色のキャンプ用カップにたっぷり注がれたキンキンに冷えたジンライム。アンプ内蔵のギターに合せながらレッド・ツェッペリンを歌いながら過ごした。


今年の8月は雨にかまけているうち、いつの間に9月に突入していた。
今年って何かしたっけなと考えると、ついそんなことを思い出した。
おそらくおれの中ではそういうことが“夏”なのだ。

そういや、なぎさんと飲んだ。
なぎさんと言えばエルルンでROやってるボス狩りブロガーで、数年前からSkypeやブログで交流がある人だけど、どうも日本酒が好きってんでね、しかも一緒に飲める距離に今は住んでるということで。

蒸し暑い大塚駅にミリタリーな出で立ちで表れたなぎさんは既にかなり酔っ払ってた。
遠くから見るとかなり怪しい。長野の酒イベントに行ってたらしい。
なるほど、たしかに人を2,3人殺してると評されるだけある。

無題


早速、麦酒庵に行ってビールと日本酒を飲み、歩いて巣鴨のサケノマに。どちらもいつもよくして頂いているお店だ。
以前からskypeでなんやかんやと話をしてたけど、会うとまた違った面が見えた。やはり視覚から得る情報って色々とあるんだな。

飲み屋をはしごしてると、友人のTから連絡が入った。
偶然、TもROで知り合った人達と飲んでるから合流しようと。
結局、うちで飲むことになって現役ROプレイヤー3人と引退者2人の座談会が始まったりして。
Tもエルルンで金ゴキcを出してる剛の者だ。
Tが連れてきたのもやはりエルルンのGvの人らしくて、しかも夫婦だった。ROきっかけらしい。
おれ以外はエルルン勢ということでローカルな話に花が咲く。
全員が深酒をして夜が更けた。



ところで、前々から思ってたことがある。
宅飲みって安いな! と。

結構飲み食いしても2000円とかそんなもんでしょう?
これ、普通の居酒屋並に一人4000円くらいかけたらかなり豪勢に飲み食いできるなぁと思ってた。

だからね、「居酒屋行って高い金払うならおれんちで金かけて豪勢にやるから来いよ」という趣旨の飲みは前から考えてた。
「居酒屋行くならおれんち来い」って感じで。

きっかけは年末に築地に出かけて海産物を買ってきて、昼から飲んだ経験がベースとなってる。かなり豪華に飲み食いしたけど大して金かからなかった。

今回はお盆にそれをやろうと。


後日、家で飲み会を企画したんだが、なぎさんは急用で来られなくて残念だった。
なぎさん、とても勿体無いことしたな!


おれは朝から築地に出かけてエビや鮮魚を買い、ネットで注文したカニの足2kg。

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さらに、Tが青森から取り寄せたホタテ、サザエ、イクラが集結して、これ店で食ったらATM走らなあかんぞってくらいに豪勢だった。Tが持ってきたの入れてたら結構な額がいってただろうけど、今回はTの実家からの贈り物ってことで。
カンパチやワカシ(ブリの小さいの)の刺し身も良かった。ホタテはでかくて肉厚、バター醤油でグリルで焼いた。サザエのつぼ焼きは今まで食った中で一番うまいつぼ焼きだった。

20170901_3.jpg

今回一番作ったのは間違いなくアヒージョだった。ここ数ヶ月で一番作ってる得意料理だ。
エビやカニやホタテや、冷凍庫の砂肝など材料は十分。

アヒージョっておしゃれなイメージあるけど誰でも作れる。調理法は至極簡単。
フライパンにオリーブオイルを入れて、鷹の爪、ニンニク切って大量に入れ、塩を入れる。
火を入れて、あとは材料を全部ぶち込めば終わりだ。
これでうまいものができるんだからやらない手はない。

よくあるアヒージョはスキレットで作ると思うが、別に何を使っても大丈夫。
スキレットは鉄製で熱が長い間保持できるってのがいいんだろうな。でもアヒージョ作るのにぶっちゃけ大した違いないでしょう。
雪平鍋でもヤカンでも入れるもの入れたら完成する。
あとはパンにつけて食べたりするのもいいね。

近いうちにまたやる予定なので、そのときには是非なぎさんには来て頂きたい。

20170901_4.jpg


【2017.09.01 (Fri)】 ROメモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(0)
みなさん、ブログやめちゃったんですね。
久々にパソコンを立ち上げたついでにROブログを見てまわるも、僕の知ってるブログはことごとく更新されていない、あるいは無くなっていた。Efiniさんとフォノンさんのブログがあったのは確認。
トミーさんのブログ、無くなってるし。あらー。
理由はEfiniさんのブログに書いてあった。
てか、Efiniさんブログ書いてるし! 現役のROブロガーの中では最古参に近いところにいそう。あ、えかさんがおりましたね。
EfiniさんにはこのままROブログ界の生き字引として、後進の指導に当たって頂きたいですね。
主にROブログのマナーとかさ、ありますでしょう? リンクしたらゲーム内で挨拶に行かなきゃいけないとか、足跡つけられたら足跡返さないといけないとか……え?

そういやたまに一緒にROしてた男、仮にX君と呼ぶが、そのX君から連絡があった。
曰く、最近ROやってる? と。そういうXも最近またINしてるらしいが誰も知り合いがいなくて暇なんだとか。精錬祭やってるよ、と誘われるも、叩くものなんも無いし、あんなにガッツリとROやる時間は取れないしな。
きっと今年も悲喜交々があったことでしょう。現役ROプレイヤーがここを見てる可能性は低いと思いますがお疲れ様でした。

「倉橋書店」さんが元気に更新されていて少し嬉しくなる。
倉橋書店というROブログをよく見てたんだけど、今ではもう知れ渡っているんだろうか?
たぶん彼女の身内の方以外では僕くらいしか見てなかったんじゃないかってくらい、かなり最初の方から見ていた。そのうち彼女はギルドを作って、ギルドの人も見るようになったようだ。だってリンクも1個か2個くらいしかなかったよ確か。
ROとは全く関係ない食べ歩き記事が好きだった。どんだけ食うんだよ、てかどんだけ移動するんだよって突っ込まずにはいられなかった。食べてるものもまぁまぁ高めだったりしたし、きっとお金持ってるお嬢さんなんだろうなとか思ったりした。独特の世界を持ってる人。動物園の年パスとか持ってたよねたしか。
あちこちの店に入っては淡々と記録し、一言二言だけコメントするという高度な技も持っていた。
そういう記事って出来そうで出来ない。色々書きたくなっちゃうんだよ僕は。

当時のリーマン会議で話題にしたっけ?
当ブログで勝手に紹介しようと思ったけど、ほら、ウチとはテイストが真逆でしょう。せっかく楽しくゲームしてるのに、もしウチから変な輩が流れたりしたら迷惑だと思ったし、僕がひっそり読んでいたいってのもあって。
相変わらず楽しそうにROをなさっているのがとても嬉しい。



【2017.05.22 (Mon)】 ROメモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(4)
味覚障害
今までブログに広告出たことあったっけな。
ってなんとなく思うくらいには珍しい気がする。あんまり更新できなかったときも広告は出てなかった気がするからね。

4月。
別れや出会いの季節とも言われてますがいかがですか。
僕は東京に住んでいるけど、通勤の電車がやたら遅れて困る。
知ってる? 4月は電車が遅れやすいらしいよ。理由は知らない。

職場が4月から変更になったので、また環境に慣れる所からですよ。
転職したり職場が変わる人なら分かると思うけど新しい職場環境に変わると心身がやたらと疲れる。その場所のルールや人間関係とか、それまではあまり気を使う必要がなかったことでも全方面に神経を巡らす必要があるからね。

仕事において業務内容以外のことで神経使うのは極力嫌だし、仕事は仕事で終えて帰って不安なくアフターファイブを楽しみたいんだけど、経験上2ヶ月程経たないと環境に慣れない。
4月は2週目からの出社だったのでまだ1週間。まだ業務のトレーニング期間で神経をすり減らすような業務は無いのに帰ると疲れてぐったりしている。

あと3月4月は死ぬほど金が飛んでったな。
奨学金、そして必要に迫られて洗濯機、除湿機、ベッドを買った。諭吉と分かれて新たな出会いを手にしたってことだ。うう、めまいがする。



ふと、ROをやめたのっていつだったかなと思って過去の記事を見てみると、正確ではないにしてもおそらく去年8月くらいのようだ。
まだROってあるのかなと思ってトミー氏、フォノン氏、要職氏、そして公式と順繰りブログを見てみるとどうやらまだバリバリ現役らしい。と言っても、twitterでバリ氏がROのこと書いてたのを見かけたからあるのは分かってたが。ちらほら分からない単語が出てきて、、なんだっけ、ミラージュ武器? よく分からんがきっとトレンドの装備なんだろう。あとハイパーエンチャント? すげー露骨な集金イベントとか相変わらずやることがエグいな。まぁとにかく彼らが未だに頑張っているのは凄いと思う。僕は自分のことを飽きやすい人間だとは思っていなかったが、彼らに比べれば圧倒的に飽きやすい人間なのかもしれない。先日、蒙古タンメン中本に初めて行った。ご存知ない人に説明すると、東京近郊にある激辛ラーメン屋である。仲本が、って紛らわしいが同居人の方の仲本が激辛好きで、北極ラーメンを久々に食いたいなんて言うもんだから、辛党でもない僕はソフトに反対の意を表しながらも仕事帰りに待ち合わせて新宿店に行った。
20時前に着くと既に客は並んでおり、激辛好きがこんなにもいることに若干引き気味で最後尾に並ぶ。やたら女性が並んでいる。聞けばそんなに辛くないメニューもあるとのことだが、以前コンビニで買ったカップ麺の蒙古タンメン中本がやたら辛かった記憶もあってかなりビビりながら看板メニューの蒙古タンメン(辛さLv5)を注文。もちろん仲本は北極ラーメン(辛さLv9)を注文。
この日の昼は前哨戦とばかりに四川料理を食べて仕上げてきている。目の前に運ばれた蒙古タンメンはイメージと違って落ち着いた佇まいを見せている。もっと威圧してくるかと思っていたのに拍子抜けである。10年ほど前にCoCo壱の5辛で口と胃と腸と肛門が悲鳴を上げ、近所のタイ料理屋でラプカイという鳥ミンチ肉の激辛サラダを食ってやはり肛門が悲鳴をあげ、かつてデスレインというお菓子を泣きながら食べた僕。カップラーメンで食べた蒙古タンメンは辛かったという記憶、そんな僕がリアル蒙古タンメン中本を食べてみると……意外なほどに辛くなかった。
なんなら昼に食べた四川料理の方が辛かった。あの中華屋、まじで辛かった。
中本はどこが北極かと突っ込みたくなる色のスープに箸を突っ込んで、麺を決して啜らずに口に運んでいる。どうやら麺を啜ると死んでしまうそうで、なるべく唇には付けず直接口中に運ぶのがコツらしい。僕は血のように真っ赤な北極の海からサルベージされた鶏肉? をもらって食ってみたがそれだけで口の中が痛かったので、これまで通りこれからも北極を注文することは無いと確信した。
仲本は完食していたが翌日腹が痛いと言った。そりゃそうだ。辛さは刺激であり痛みだ。調べると当然ながら食道や胃や腸にダメージがあるそうで、舌の味蕾も下手すりゃ壊れるらしい。舌には味を感じるために味蕾(みらい)というものが3000個ほどあって、辛い刺激でそれが壊れると味覚障害になる。

やっと言いたいことに辿りついたが、僕はもしかしたら味覚障害で、実はまだ味のしていたROというガムを吐き捨てたのかもしれない。現役で楽しんでいる彼らを見るとそんな思いもする。味覚障害はたぶん治らないだろうから今再開しようなんて気は無いけどね。

【2017.04.15 (Sat)】 日常メモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(0)
ああこれが心というものなんだな今目覚めたよ
3月は2月よりも気持ちが軽い。完全に闇落ちしていた2月に比べればそりゃそうだ。

これは業務に少し慣れたこと、2月よりもボリュームが減ったこと、あれから時間が経ったこと、仲本がとても面白いこと、ドラム叩いたことなどが相まって、僕のメンタルが少しずつ癒されているからである。
仕事で帰りが遅いので、夜に飲みに行くのは自重している。が、結局、家では仲本と3時まで飲むなんてことがザラで寝不足の平日を送っている。おかしい、おれは1時前には寝るヤツだったのに。遅く帰るからそこから飲み始めると長いってこともあるが、仲本が酒好きなやつな上に、おれが好きなフジファブリックやサカナやバンアパ、SQUARE PUSHERやUNDERWORLDやケミカルブラザーズやプロディジーなどを知っていて、バンドサウンドからエレクトロニカ系まで話ができるのでつい寝るのが遅くなって。おかげでおれの会社ライフはめちゃ眠くてテンションも低い。眠さを悟られないように常にマスクをかけるようになった。

そういやこの前、キジマと仲本と僕で音楽スタジオに行った。
楽器未経験者は僕だけだった。ドラムやりたいと思って行った。スタジオの勝手はまるで分からないが全部キジマがてきぱきとセッティングしてくれる。キジマかっけぇ。
僕はカウンターの兄ちゃんからドラムスティックを2本450円で買った。仲本はフェンダーとか言うベースを手に感触を確かめている。体も手も小さいのでやたらベースがでかく見える。しかし、細々とした短い指が慣れた手つきでせわしなく動いている。キジマは普通にギターが弾けている。なんかブルースコード的なやつを弾いてて、やたらとかっこいい。それだけで酒が飲めそうなくらいだ。

僕はドラムを叩いたことはないが、エアードラムで8ビートの練習はよくやっていた。工場にいたとき暇すぎて、いつも8ビートをエアーで刻んでいたものだ。最初は生の楽器に戸惑ったが意外に叩けた。8ビートは微妙に不規則なリズムで奏でられる。手のイメージはまあまあ付くが、キックを踏むのが難しかった。

最後は形にならないセッションをして、充実の時間が終わった。酒、タバコ持ち込み自由なスタジオはかなり楽しい。これからもちょいちょい行きたいね。

ところで僕は常々、武道館ライブを掲げる人たちは本当に武道館ライブをしたいのかと疑問を呈している。駅前で歌っている人たちは、なぜかみんな武道館ライブを目指して演奏し歌っている。武道館はひとつの憧れ、ステータスであるんだろうがみんなそこを目指し過ぎじゃないか。いや、わかるよ武道館。凄いよ。でもなんだか武道館って言っとけばokみたいなのがちょっと引っかかるつーか。えらい脱線したな。

この前、キジマと楽器屋行って電子ドラム叩いてみたけどあれもいい。家でも叩けるなら上達もすると思う。仲本が大塚で飲んでみたいというので3軒ハシゴした末に入ってみた大塚のとあるバーでも電子ドラムを叩いてみた。ミュージシャンが集まるバーらしくて、店にはギターやキーボードやベースやらが置いてあって、僕の音楽の趣味と店長の趣味が似ていて、僕がすかんちのファンだと言ったところで意気投合。店にはある電子ドラムを叩いてみろということになった。僕は8ビートしか叩けないんだけど、大音量でかかるLedZeppelinやQUEENをバックに僕のショボいドラムが賑やかした。

店長は僕からスティック受け取ると、華麗にドラムを叩き始める。ベーシストだそうだがドラムもある程度叩けるんだそうだ。やはり楽器ができる人はかっこいい。モテる。
僕も夢は南極ライブと掲げて練習してこうと思う。



【2017.03.07 (Tue)】 日常メモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(4)
2月の歌
ベートーヴェンの第九が好きだ。
中学生の頃に初めて地元のホールで聞いて感動したのを覚えてる。
たしか友達に誘われて、年末に聞きに行ったんだ。それから第九のCDをよく聞いたし、なぜかエヴァンゲリオンで第九を使ってたしで、自分なりにカタカナの歌詞を耳コピして歌ったりもしてた。

いつか人の前で歌いたいなと思ったのは「ぼくらの第九殺人事件」という小説を読んでからで、この本の中では主人公たちが市民合唱団に入って第九の練習をする姿が描かれる。少しずつ第九の歌詞の意味を知って、仲間たちと気持ちを入れて練習を重ねていくのが良かった。そして冬、年末感。冬の厳格さと第九の荘厳さが合うんだと思う。
その後もずっと第九を聞いて生きてきた。
嬉しいとき楽しいときはフロイデと口ずさんで世界の素晴らしさに触れた気分になった。

大人になって、当時付き合っていた彼女とクリスマスイブに第九を聴きに行ったりもした。
僕の第九熱に彼女はウンウンと頷いてくれたっけ。

初めて聴いてから20年近く経って2017年2月19日、僕は新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏と一緒に、第九を歌うため墨田区の両国国技館にいた。

約半年の期間で週に1回、浅草のリバーサイドホールに集まって練習をした。
聴き馴染んでいた第九合唱は、実はソプラノパートを主に覚えているだけでテノールともなれば新たに覚えることになる。正直、メロディーを覚えるのも結構苦労したがパート別練習のCDを何度も聞き込んで覚えた。
いろんなところに気をつけながら歌うと言えば簡単だけど、合唱はとにかく緻密だった。僕は歌が好きだけどこんなに緻密に歌ったことがない。緻密と言えば、慶應大学の合唱部の歌を聴きに行ったんだけど、やはり緻密で、声も楽器であることを再認識させられた。

色んなことがあって、僕は本番に臨んだ。
既に彼女も猫もいなくなってしまった後だった。
仲本というパンクな住人はいたが、クラシックに興味があるようなタイプでもない。ベートーヴェンよりUKロックなベーシスト、金髪のパンクスはベートーヴェンをたぶん聞かない。

国技館の升席で前日のリハーサルをこなし本番の日。
少し肌寒い日だった。僕は黒いスーツに白いシャツ、白蝶貝のカフスボタンを身に付けて、ポケットに蝶ネクタイを入れて家を出た。
日曜の朝の8時台でもまぁまぁ人がいて、乗り換えの秋葉原でもさすがに人が多かった。両国駅について大きい相撲取りのパネルを横目に改札を出て、国技館へと向かう。
入り口で弁当を受け取り、前日にリハをした升席に着席する。升席は3人が座れる広さで、2人の50歳代くらいの先輩と軽い挨拶をしてゲネプロ。
マエストロの下野竜也氏以下、新日本フィルの面々の音出しから僕は少し感動して、国技館の上の方を見つめていたりした。
プロの音楽を間近で聴けるというだけで、素晴らしい体験だと思った。

昼を過ぎて弁当を食べた頃、蝶ネクタイを首元に着けて目を閉じた。
ここまできたらあとはもう歌うのみ。

会場には元彼女がきているはずだ。
僕は色んな気持ちがあったけど、それら語り尽くせないたくさんの言葉を伝えるには、この第九を聴いてもらうのが一番だと思いチケットを送った。
第九はこの世のあらゆるものを内包する深い音楽だ。「人類最高の芸術作品」とも呼ばれるほどだ。
感謝や心配や後悔やエールを、もっと言えば僕の30年余の人生をこの10分少々の歌に凝縮して詰め込んだつもりだ。
奇しくも僕がこの前の文フリで書いた小説のような展開になっているのが不思議な気分だった。

終わりに近づくに連れて「ああ、もう終わってしまう」と気持ちが湧いてくる。
どんな時間にも、辛くても楽しくてもいつか終わりがくる。
火花のように一瞬の時間。

音楽が鳴り終えて拍手に包まれながら、明確な理由がない涙が流れていた。
これまでの人生やこれからの人生を思うと、なぜか分からないが涙が溢れていた。
それは肯定感に包まれた涙だったと思う。

解散してからも頭の中ではいつまでも第九が鳴り止まない。
僕は少し曇った空の下、両国駅に向かった。

【2017.03.06 (Mon)】 日常メモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(0)
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