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第4回文章合宿
今回の文章合宿会場は栃木県は鬼怒川の温泉宿である。

前から温泉宿で文章合宿というのは候補に挙がっていて、機島っちのそろそろやるか? の声で半ば突発的に決まった。

私の自宅からだと、鈍行で行くと3時間はゆうにかかる遠方である。

今回は土曜の夕方に宿に着き、日曜の昼に帰るためいつもより丸1日近く滞在時間が短い。



12時を少し過ぎて大宮駅に着いた。

土曜日の昼、雨といえどもさすがは北の玄関口大宮駅だ、人が多い。

キャリーバッグを引き、待ち合わせの時間から10分遅れて中央改札を出るとイヨシが"ロンギヌスの槍"と呼ぶ、奇妙なオブジェを探す。

それはすぐに見つかった。

銀色のパイプのようなものが下から2本突き出て、DNAのように螺旋状に上へ伸びている。

イヨシはその足元にいて手を振っていた。

でかくて重そうなリュックを1つ背負っているけど、いつもより荷物は少なそうだ。

Tシャツの上に半袖の作業服を羽織り、下は将棋の駒が書いたステテコとスニーカー。独特のセンスである。

「よう」

「おう。機島っちはもうちょいだってよ」

そういえば最近、女性がよく着ている肩だけ穴が開いた服はなんという名前なのだろう。

大宮まで来る道でも何人も見た。

袖はあるのでノースリーブではない、肩だけが出る夏っぽい服。

あれってなんだろうな、とお互いにまるで詳しくないジャンルをしながら機島っちを待つ。



しばらくして機島っちが現れた。

カマキリの頭が覆面レスラーになっている奇妙で前衛的なTシャツを着こなし、短パンにサンダル、そして鳥打帽にヘッドホンという機島らしい格好だ。

持っているバッグは私の家に来た時と同じもので、このバッグの厚みからはこれから遠くに行くような意志を感じないというか、これもまた彼らしさであると思う。



とりあえず飯を食うことにして大宮駅前の大衆居酒屋に入る。

店内は立地もあって昼からそこそこの人が入っているが、当然ながら客は全員おっさんだ。

ここで女性と呼べるのは現役を引退したような店員のバアさん達だけで、彼女らは私たちが店に入ると3人客は中途半端で面倒だということを遠回しに言ったかと思うと、カウンターに座るよう促した。

3人並んで座りジョッキをぶつけ合い、野菜炒めやシュウマイを食って、腹を満たした私たちは店を後にする。

20160905_01.jpg


コンビニで道中の飲み物や食い物を買って、いよいよ東武線に乗り込んだ。

何回乗り換えたか覚えていないが、栃木駅での乗り換えで、機島っちはタバコを吸いたいと言った。

イヨシと私はそれに従い、駅のコンビニで適当に食い物と飲み物を補充し、タバコの吸い終わりを待っていたが、機島っちは栃木観光したいと言い出す。

栃木駅は小綺麗であったが、周囲を見た感じ何か興味の引くものがあるでもなく、雨降りの中に歩くだけのことに意味を見いだせないでいた。

私たちは全く乗り気ではなかったが、並々ならぬ機島っちの栃木駅観光欲を感じ取り渋々同意して駅から遠ざかる。

それにしても栃木駅の周辺には何もない。

唯一興味を引いた団子屋に入ることもなく、学習塾の多さや、栃木駅は車社会であろうということを言い合い、周辺を散策して戻る。

良かった点は、栃木駅を知ることが出来たことであり、それ以上でも以下でもない。

栃木の中心はおそらく栃木駅にはなく、宇都宮駅なのだろう。

イヨシは栃木駅近くのポケモンジムを攻撃できて嬉しそうであった。



さて、予定外のことは起きたがこれも旅の醍醐味と言えばそうだ。

たかだか20分ほどの寄り道だったが、改めて到着時間を調べると1時間遅れになるようだ。

この先は頻繁に電車が来るような環境ではないということを示唆している。

私たちは、鈍行をやめて特急で行くことに決める。

特急料金は930円。

8月のカードの支払いがとんでもないことになっている私の意気はかなり消沈したが、

「今日の夜飯はおれがおごろう!」

見かねた機島っちの言葉に背中を押され、私たちは特急に乗り込んだ。

特急は非常に豪華な造りで、トイレはあるし売店もある、席もなかなか広く、私たちの旅は930円分豪華になった。

私は車中で短歌を詠み、二人は小説を読んだりしていた。



車窓には青い傘さす男の子通りすぎてく大宮はまだ

流れてく家々の屋根瓦ぶき雪が降ったら潰れるだろう




鬼怒川は、現在利根川の支流として認識され、元々は絹川や衣川と呼ばれていた。それが明治に鬼怒川として広まり、現在に至るらしい。

辺りを山に囲まれた山間の街。南北に流れる鬼怒川の良サイドにはホテルや旅館が立ち並び、まさにリバーサイドホテルである。

鬼怒川温泉駅は小雨がパラつき、観光客と思しき人々もまばらだ。

イヨシの案内を先頭に、私たちは特に寄り道もせず宿へ向かう。

既に潰れたホテルや旅館が多く、かつてここはかなりの人が賑わったんだろう。

しかし観光客はそこそこいるように見えた。




今回の会場は味のある宿である。

受付には短髪のおそらくオーナーの男がいてチェックインする。

オーナーの男は言う。

「皆さんの後ろにある、ナニ川かご存じですか」

カウンターはちょうど鬼怒川に背を向ける位置にある。

「鬼怒川じゃないの?」

「後ろ側です」

3秒に1回はダジャレを入れてくる強烈な男である。

きっと来る客来る客、みんなに言っているのだろう。あまりにも流暢なダジャレの怒涛のテンポにたじろぐ。

大きなガラス越しに見る眼下の鬼怒川は泥水のように濁り、最近の悪天候を物語っている。

普段はもっと綺麗なんだそうだ。


鬼怒川が濁っているのは雨風とキジマ君らのせいだと思う

20160905_04.jpg

いつも鬼ころしを飲んでいる機島っちと、鬼怒川は相性が悪いのではないだろうか。

そりゃ鬼も怒る。



部屋の広さに驚いた。

玄関は広く部屋が3つあり洗面台が2つあり眺めがいい。

合宿史上で最高の部屋、一泊4000円である。

荷物を置いてしばらくして、夕飯を食うため来るときに通った中華屋に出かけた。

オーナーの男からは徒歩1分にドラッグストア、駅前にはコンビニがあると聞かされた。



位置関係的に先に買い物をすることにして、駅前のコンビニに来た。

夜食そして朝飯を買い、酒を買う。栃木名物、レモン牛乳も買う。

おばちゃんが、「中二病だけど旅がしたい」と書いた展示の扇子を欲しがっていたのが印象に残る。なぜここまで来てそれが欲しいのだ。

駅前の広場には足湯があり、ついでに体験する。ぬるいが、それが良い。

中華屋は寂れかけた街にあって客を集め、決して広くない店内には3組がいた。

親子連れ、女性4人組、カップルである。

機島っちの奢りによって、私たちはチャーシューメンを食った。

素朴な味で栃木風な味である。

20160905_03.jpg


この時点で19時を回っていた。

私たちは宿に戻り温泉に入る。水圧が恐ろしく弱いシャワーを浴びていざ湯船。疲れを癒す。

二人は先にあがり、露天風呂に一人残された私は上半身を出したり浸かったりして温泉を堪能しつつ、短歌をなんとかひとつふたつ詠もうとしてみた。しかし、なかなかうまくいかない。



「ドーン!」

といきなり鳴ったのは花火だ。

露天風呂から見える位置で花火が見える。鬼怒川周辺は常に湯けむりが漂っていたので花火は見たことがないような幻想的なものだった。

しばらくして部屋に戻ると、二人は部屋を暗くして花火を見ていた。

時刻は21時20分。

ビールを飲みつつ、

「卓球しよーぜ」

と機島っちに声をかけた。

早速、機島っちと私は卓球部屋で始めた。いつしか汗だくになり機島っちはパンイチになる。私も耐えられずパンイチになる。

風呂上がりにビールを飲みながら卓球なんて温泉宿の定番アクティビティを私は初めて体験した。

二人の男がパンイチで汗をかく。これをゲイの卓球と称したのには笑った。




部屋に戻って目的である文章執筆を始めた。

機島っちは夜勤明けの寝不足と疲れと酔いで、ポメラを広げた瞬間に寝た。

イヨシはしばらく書き、やはり酒に酔ったか寝転がって寝息を立て始める。

私は文章を書く前に短歌を詠もうと思っていたが短歌で力尽きそのまま寝た。

少しつけてたテレビでは24時間テレビをやっていた。


愛が地球救うものなら温泉は人々救う温かさに満ち



早めに起きた私はとりあえず朝風呂に入ることにしてやはり短歌を詠む。

結果的には小説に充てる時間は無かった。

それはイヨシや機島っちも感じる所のようで、10時のチェックアウトを迎える頃には諦観が見て取れ、純粋に温泉宿を満喫してしまった複雑な心境が見て取れた。

結局、今までもそうだったように文章合宿は1日目は飲んで寝てしまうのだ。

2日目が本番なのだが今回はそれは叶わないのである。

もっとメリハリを付ける必要があるな。



清洌な朝風呂にいてなんとなく排水口から目をそらしてる



どんよりとした天気のなか、鬼怒川温泉駅を後にして私たちは一路春日部へ向かった。

不完全燃焼だったせいか文章熱はくすぶり、どこかファミレスでも行って書かないか? ということをイヨシは提案、私たちは賛同した。

鬼怒川温泉駅の周辺は特に何もないことは前日明らかになったので、埼玉は春日部を目指すことにしたのである。

春日部はきっと何かあるだろうと考えてのことだ。

きっとクレヨンしんちゃんの銅像とかが駅前にあって、クレヨンしんちゃんをこれでもかというほど押している街だろう。

期待しまくって駅前に降り立ったが銅像なんてものはなく、街の案内板に少しだけ書いてあるくらいで全然クレヨンしんちゃんが無い。

なるほど、春日部はクレヨンしんちゃんを当てにしているわけではない。

ビッグタイトルを利用する春日部を想像していたがそうではなく、春日部はそんなものに頼ろうなどとは思っていないらしい。

春日部の気概は伝わった。



さて、駅の周辺をぐるりと歩いてみたがファミレスというようなものは見当たらなかった。

強いて言うなら“3割うまい!”という謎のキャッチフレーズでお馴染みの「ぎょうざの満洲」であり、他の選択肢はない。

ダブル餃子定食とビールという鉄板の組み合わせで腹を満たした後、駅の反対口にも行ってみたがやはり何もないようで、今度は大宮に向かう。

大宮駅のカフェでコーヒーを啜りながら、私たちはとうとう本懐を遂げた。




今回は、まるで吟行(出かけて歌を詠む)のようになってしまった。

短歌はまだまだだけど楽しい。

写真が目に映ったものを絵として切り取れるものなら、短歌は目に映ったもの+感じたことを文字にして切り取って持ち運べるものだ。

フィクションでも良いので写実的なものではないけど良いもんだなと思う。



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【2016.09.05 (Mon)】 文章合宿 // TRACKBACK(0) // COMMENT(4)
第3回文章合宿2,3日目
そういえば1日目の記事で書き忘れたことがいくつかある。

合宿に際して、3人とも土産を用意していた。

イヨシはクラウド上のスペースを2人に提供。500MBまでなら自由に使えるらしい。

今回の合宿ではそこに各個人のディレクトリを作成してデータのやり取りをした。メールを介したりするより全然良い。

きじまっちからは本。イヨシには『撲殺天使ドクロちゃん』で、私には『青空のむこう』。

これには彼なりの意図があって、曰く、ドクロちゃんという本はキャラと面白い掛け合いだけで成り立つ本だと。そこからキャラとはどうあるべきかというヒントを掴んで欲しい、ということらしい。

そして、青空のむこうはとにかく“物語”であると。純粋に物語の良さとはこういうものだ、ということらしい。

この本、読み終わったので感想は後日にするが、確かにこの本の面白さの要素は物語が大きなウェイトを占めている。子供の視点で、とても平易な文章ながらも物語で読ませる。

ハードカバーで絵がとてもいい。

aozora.jpg


私からの土産は、なんというか実用的なデータでここに書くようなものではない。




部屋についても少し追記する。

この部屋の入り口ドアの上には定員2名と書かれていた。そこに3人泊まるのだから、宿の適当さを推して知るべしってところだ。

観音開きになる収納スペースには日本人形が置かれていた。初日の酔っぱらいテンションで見た時はガハハハと笑ったが、例えば酒を飲む前で、雨や雷なんて鳴ってたら結構ビビっていたかもしれない。

写真はなんとなく辞めといた方が良いと思って撮らなかった。




2日目。翌朝。

いや、正確には昼だった。眠い目をこすりケータイの時計を見ると11時を回っている。

他の2人はまだ寝ている。

それにしても昼だというのに、この部屋は夜と変わりなく暗い。日当たりは最悪らしい。



私はのそのそと起き上がって座卓に着いた。

少し頭が痛い。紛れも無く二日酔いだ。しかし、気持ち悪いというわけではないので軽度の二日酔いだった。



きじまっちからのダメ出しテキスト「kijimadamedasidesusuimasen.txt」を開いて読み返した。

小説作法、内容のダメ出し、良い点が書かれていて全てが参考になる。

今まで描写をまともに書いたことが無く、あまり自信が無かったのでその点を褒められたのは自信になった。

また、内容のダメ出しもなるほどと思えた。足りない点が2つ書かれていて、それを書けば話にもっと厚みが出ると想像がついた。

軽い二日酔いのためすぐに修正に取り掛かるきにはなれず、水を買うためにエレベータで1Fに降りた。

エントランスというよりも“玄関”といった風の、大きなガラス戸から入る光の眩しさに目を細め、もう昼だという認識を新たにした。

部屋に戻ると、まず作法の指摘を修正した。

三点リーダは2つセットで使う。小段落を使い分ける。フルネームは2回目以降いらない、など。

この時点で文字数は2400文字。他の2人は未完成ながらこの3倍以上はあり、それは力の差のように思えた。



14時を回ったあたりでイヨシが起きた。

「頭いてぇ……」

と、不明瞭な声でつぶやく男もまた、二日酔いだった。



私はきじまダメ出しに従って、内容の肉付けに取り掛かっていた。

小学生の男の子と女の子が出てきて青春小説らしく男の子が恋するわけだが、その過程の描写が欲しいとのこと。

描写が無いことはないが、確かに今のままだと蛋白だったし、読んでる側にとって感情移入するには足りない文章量だと感じた。

そこで入れ込むアイディアを2点ほど思いつき、全体の改修工事に取り掛かっていた。



二日酔いではあったが耐えられるくらいの不快さにまで落ち着き、15時を過ぎた頃、腹が減ったのでイヨシに飯を食いに行こうと誘った。

きじまっちも確か起きていたと思うが、我々以上に酒を飲んでいたので具合が悪そう。

いつもの顔色に輪をかけて顔色が悪い。

後で聞くと今年で一番飲んだ日だった、とのこと。




重い足取りで飯を食いに出かけたイヨシと私(韻を踏んでる)。

アメ横が近いのでアメ横に。休日の夕刻ということもあってそこそこ人がいた。

カップルや家族連れ、外国人観光客、そして我々のような謎の人間といった顔ぶれ。

ameyoko.jpg


私はこの雰囲気が好きだ。

ゴタゴタとした雰囲気は、どこかに素晴らしいモノが人目に触れず存在してるのではないか? というワクワクをくれる。

それは幻想なのかもしれないけど、ここを知り尽くすことはおそらく無いのだから、その幻想に浸るのがいまは最良だ。




なんの迷いもなくカドクラ(立ち飲み屋)に入った。

カドクラはキャッシュオンデリバリー、つまり注文して即カネを払うタイプの店で、テーブルに小銭を用意しつつ飲むのが飲み慣れた男の嗜みである。

100円玉を10枚ほど狭いテーブルに置き、レモンサワーやらホッピーやらハムカツを注文。

二日酔いだったからと言って怯むことはなく酒と揚げ物をやっつける。

文章合宿に来ているのだから、当然話題は文芸や物語の話。

イヨシが書いているSFの展望を聞いたり、私がいま詰まっている所を相談したり。



2軒目はカドクラから歩いて30秒もかからない肉の大山。

上野で飲むと言えばここは外せない店だ。

カウンター席に通された我々はハイボールとメンチ、コロッケを頼む。

文学論などという高尚な話では全く無いがそんなような話をした。

そこでイヨシに言われて強烈に覚えている言葉。

彼が小説を書き始めた15年前のことを振り返って言った言葉だったが私にはすごく響いた。

「小説を人に見せたら下らねぇと言われたんだよ。書き始めた時が一番ナイーブなんだから、そんな話すんじゃねーよ! と思うんだよ。そこから大作家が生まれるかもしれねーだろ?! 便所行ってくる」

かっけぇ……。

ジーンとして目が潤んだ。


ameyoko2.jpg



宿に戻ると、きじまっちはぐったりしながら座卓に向かっていた。

おそらく飯を食ってないきじまっちに、途中で買ったタコ焼きを渡す。

昨晩のダメ出しテキストを見て修正しているようだった。




3人とも座卓に座りしばらく集中した。

私は小説全体の改修に必要となる、梶井基次郎の短編「檸檬」と「桜の樹の下には」を読み解く。

この短編は今回の小説の重要な要素で、きじまっちのダメ出しから思いついたアイディアだ。

男の子と女の子の話に、この2編の話を絡めて奥行きが出せればと思った。

もちろん合宿に持ち寄った時点では全く考えていなかった。

といっても、その2編の話は知ってはいたので入れ込めるイメージは何となくあった。

ちなみにこの2編は著作権が切れて青空文庫になっているのでネットで読める。



いつのまにか寝ていた。

他の2人は……どうしてたっけ? たしかイヨシが寝ていて、きじまっちはカタカタ打ってたような気がする。

時刻は22時くらいで腹も減っている。

飯を食ってくると伝え、お使いを買って出るときじまっちはおにぎり2個をご所望。

私は一人、夜のアメ横に向かう。

ameyoko3.jpg


軒先で食品や雑貨を売る店はとうに閉まり、開いているのは飲み屋やラーメン屋等の飲食系のみ。

そこを歩く人々もすっかり夜の街といった風で、仕事帰りのサラリーマンや、この時間まで飲んでいた人、客引き達へと変わっていた。

私はアメ横を2周ほど歩き、何か面白いことが転がっていないか見渡しながら歩いた。

結局はアジア系の商売女に声をかけられたぐらいで何も起こらず、目についたスタ丼を食って出た。




の合宿中に、初めての小説を書き上げる予定だ。

完成させることに意義があると分かっているが、それでもやはり面白い物を書きたいという思いはあった。

ダメ出しは的確だったように思えた。あれに従って書ければ良い小説になりそうな気がする。

あとは自分の技量とアイディアを信じて形にするしかない。



途中、マクドナルドでチーズバーガー2つ、のコンビニで酒とおにぎりを買って宿に戻る。

出かける前と変わらない風景。きじまっちは起きていてイヨシは寝ている。

おにぎりを2個渡して金を受け取る。

おにぎりが食えるということは具合が良くなったと思ったがまだ悪いらしい。



の小説も終盤に差し掛かった。

腰はかなり痛くなっていたが、テンションはどんどん上がっていた。

頭の中で思っているだけだった物語が、文字にすることで徐々に形になってくる。

その快感を例えるなら、自分が神となって、世界を思い通りに作っていくような、ナルシシズムでサディスティックな快感だった。

カタカタと文字を打ち込んでいる私の顔はさぞ気持ち悪かったことだろう。

確かきじまっちに

「楽しくなってきた!」と言った。




朝方。

イヨシが寝る起きるを小刻みに繰り返し、きじまっちは寝ている。

イヨシに買ってきたハンバーガーを渡す。

私は最後の修正をしていた。

頭から読みなおして、誤字脱字、矛盾などを直す。

「……完成した」

安堵と達成感と不安が混じった声で私はしっかりとつぶやいた。

「おっ?」

私の声を聞いて、寝起きでテンションが低いにも関わらずイヨシが声を出す。

クラウド上に小説をアップロードして、

「アップしといた」と言った。



ブログを書いていても思うが、自分が書いたものを何度も修正していくと客観的には見れなくなる。

果たして面白いかどうかが分からない。

これはきっと色々な創作物に言えることで、――もちろん自分でハッキリと駄目or良いと分かる物もあるだろうが――概ねそうだと思う。





「山場が欲しいな」と、イヨシは言った。

一瞬、私は水を差されたような気分になったが、聞いてみると確かにその通りで感心した。

テキストを開いて、イヨシが言うことをメモしていく。これはイヨシからのダメ出しだから真剣に聞いた。

女の子との出会いをもう少しドラマチックにした方が良い、というのも頷けた。

確かに、もう少し特別なシーンを入れてそこで出会ったほうがいい。

どういうシーンが良いか具体的なアドバイスも受けた。そこは頑張れば入れられそうだ。

また、もっと熟れた書き方に見えるという案も受ける。

タイトルを付けていなかったので「桜の季節」とした。



ダメ出しはとてもタメになった。

しかし、完成させたという達成感が上回り、話が入ってこない。

とりあえずメモしておいて後で見ようと思った。




果たして、これは面白いのか。

そんなことを思っていると、きじまっちが起きた。

「きじまっち!小説完成しました」と私。

「おおー、おめでとう」ときじまっち。

「クラウドにあるから読んでみろよ。結構おもしろいよ」とイヨシはきじまっちに確かにそう言った。



その時の私の嬉しさが分かるだろうか?

処女作「桜の季節」が1つの小説として認められたその嬉しさを。

私はどこかで小説なんて自分に書けるんだろうか? と思っていた。

ブログが面白いと言われることもあるけど、小説とブログは全然違う。

文章力があると言われることもあるけど、文章力がある人との差は私がよく分かっている。

しかし認められたんである。



きじまっちはじっくりと読んでいた。

文字にして8000文字ほど。10分から20分で読めるが、きじまっちならもっと早く読めるだろう。

でも意外なことに、きじまっちは20分以上は読んでいた。

寝起きだからか、具合が悪いからか、文章が頭に入らないのではないかと思ったがそうではなかった。

「……これ名作じゃん」

きじまっちは言った。

青空の下、目を閉じて風を感じたいと思ったが、実際には薄暗い部屋だったのが残念だ。




その後はイヨシときじまっちで感想を言い合っていた。

「背伸びしていないのが素晴らしいところだな。よくあるのが、キャラに自分の技量以上のことをさせようとすることだ。これは大人が書いた小説だよ」

とイヨシは分析する。

「小説に正面から向き合ってラストを書いたのがいいね。逃げてないのがいい」

ときじまっち。




胸いっぱいのまま宿を後にする。

外が眩しく感じられた。

最後はきじまっちが飲み過ぎたサイゼリヤで打ち上げ。

「今回の合宿の成果は、aiharaのポテンシャルが分かったことだ」とイヨシは言う。

文芸フリマや次回の合宿について、そして私の次回作についての話をして合宿は幕を下ろした。





家に着いて、イヨシからのダメ出しテキストに従って修正した。

その日のうちに小説投稿サイト「小説家になろう」へアップロードした。

次回作はテーマが与えられたが、まだほとんどイメージがない。

嬉しいのと、次回作への焦りの両方がある。

しかし、面白いと言って貰えることを第1にして良いのだろうか。

プロならそれでいいし、プロを目指す者もそれで良いように思う。

けど、あのラストを書いている朝方に感じた高揚感。

あれが評価を抜きにした創作の醍醐味だと私は感じた。

他にはなかなか味わうことがないワクワクした感覚だった。

私はこれからも小説を書くことになるだろう。

6畳の狭い自室で、私は一人そんな予感がしていた。



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小説は明日の記事で紹介いたします。

翌日記事のリンク:>>第3回文章合宿で書いた小説『桜の季節』



【2015.10.23 (Fri)】 文章合宿 // TRACKBACK(0) // COMMENT(2)
第3回文章合宿1日目
今回で第3回を迎えた文章合宿。

これは小説家を目指す2人の男と、ただのしがないブログ書きである私が、どこかの宿に泊まり込んで文章を書くというノンフィクションである。

前回までの合宿については右のカテゴリから「文章合宿」をどうぞ。

<参加メンバー>
iyosi(イヨシ)
仕事しながらどこまでできるの?(通称シゴキル)

人類の滅亡を望む男。いつもワークマンにあるような作業服に身を包む。
文章合宿を取り仕切る、合宿プロデューサー。
きじまっちと私は彼の手のひらの上で踊らされている。
得意ジャンル:SF


機島永介(きじまっち)
ALTERNATIVE STREAM 2(通称おるすと)

人類の混沌を望む男。コンビニで買った鬼ころしをいつも持ち歩いて飲む。
音楽を作り、絵を描き、文章を書くマルチな奇人。
お前らグルメすぎるぜ…が口癖で、食べ物に拘りがない。
得意ジャンル:キャラもの


aihara
津軽海峡冬ブログ

ただのブログ書き。
今回はじめて小説を書いた。
得意ジャンル:なし



今回から合宿はリニューアルされ、各自で書いた小説を持ち寄って批評することになった。

受けたアドバイスを反映させて完成させるという形式だ。

そうなると、今までの合宿のようにただブログの文章を書いていればいいってわけじゃない。

こんなブログを書いている私が、小説を書かねばならないということになる。

仮にもプロになろうという者に混じって文章合宿に参加しているので、出来ません無理、じゃ彼らに失礼だろう。

だから観念して書くことにした。




宿当日。

予定通り午後休を取った私は自宅に帰ってからラストをどうするかを試行錯誤していた。

当日までラストがうまく書けないでいた。

こういうふうに終わろうというイメージはあったが、どういう流れでその結果に持っていくかを悩んでいた。

それだって話の流れによってはボツにする可能性もある。

とにかくある程度考えたら実際に書いて形にしつつ修正を加えていくしかないというのが、小説を書いてみて得られた感覚だった。



書けないまま時間だけが過ぎ、15時を回った。

19時までに上野に着けばいいかと考えていたのでまだ時間はある。ここからは徒歩も入れて1時間くらいだ。

不意にケータイが震えた。きじまっちからのLineメッセージであった。

「いらないものを全部捨てて」
「僕とカラオケに行きませんか」
「今から」

私の状況を見越しているかのようなメッセージだ。

彼はこれを「断捨離的カラオケ」と呼び、何もかも投げ捨ててシャウトしようと言った。

すこしのやり取りの後、私は既にきじまっちが待つ上野に向かった。

きじまっちも書けていないらしかった。



上野駅できじまっちを見つけた。

白いシャツに黒いジャケットで、遠目にはスーツのようにも見えた。

相変わらず顔色が悪いきじまっちは、私をみるなり、

「来たか、aihara!!」と叫んだ。

それだけで、既に彼がどれくらいの酒を飲んでいるのかを推し量ることができた。

聞けば鬼ころしを2合と、サイゼリヤでワイン500mlを飲んでいるらしかった。



ハイテンションのままカラオケに移動する。

仕事終わりのイヨシが上野に着くまであと1時間。その1時間を全力で歌う。

きじまっちが歌うのは「誰かが」から始まって「即死」や「公開処刑」を経て「恋愛サーキュレーション」に辿り着く。

私も負けじと岡村靖幸から始まりサカナクションを経て、最後は「生きてることが辛いなら」に至った。

一時間ほどのカラオケだったが素晴らしい一時間だった。




ヨシにカラオケへ来いと送るも、金がねぇ……と断られ、既に宿にチェックインしたという連絡を受けて我々も移動。

アメ横を横切って首都高の下をくぐった路地の先にその宿はあった。上野駅からでも徒歩5分ほどで立地は良い。結構古い。

高圧的な宿の主人に金を払い、ガクガクと動くエレベータに乗って部屋に着く。

入り口の脇に洗面台、奥には風呂がある。部屋に入ると3人が囲んで座れそうなテーブル、その少し奥には布団が3つ既に敷かれていた。

イヨシは布団に寝転がっていた。

途中のコンビニで買ってきた飯と酒を食らい、ひとごこちついた一同はノートPCを卓上に広げ、いよいよ合宿を始めた。

20151019_01.jpg

「実はまだ出来てねーんだ」と口を開くイヨシに、きじまっちと私は安堵した。

各自の未完の小説をイヨシが用意したクラウド上にアップロードし、それを読んで批評する。批評を書いたテキストをクラウド上にアップした。

イヨシはビールやらチューハイ(STRONG)、ウイスキーお湯割りを呷り、きじまっちは鬼ころしにストローを挿してちゅうちゅう吸っている。私もビール、氷結、そしてウイスキーお湯割りを腹に収めていく。

各自の小説を読み終わる頃、正常な判断ができる者は一人も残っていなかった。

それでも私の小説に対するきじまっちのダメ出しテキストを読んで、なるほどなぁと酔っ払った頭で思う。

小説に関する基本的な文章作法についても書いてあり、三点リーダは2つセットで使う、とかそういうの全然知らなかった。

イヨシは疲れているのかかなりぐったりしていて、批評は明日に回された。



私が書いたのは、小学生の男子と女子、2人だけ出てくる青春小説だった。

いくつか話の案はあったがどれも自分の技量では厳しいと判断して、あまりキャラを動かさなくても良いような、私でもなんとか書けそうな話に落ち着かせた。

イヨシの話はハードなSF。重厚な設定と説明で説得力のある人造人間の話。物語が動き出した、という所でひとまず終わっている。

きじまっちの話はSF寄りだけども設定が細かいわけではなく抽象的な文で満たされていた。新宿西口で「私の志集」を売る有名な女性をモデルにしたキャラが出る話で、まだ序盤だ。




然、きじまっちは服を脱ぎ始めた。

「おれをなぐれ!!」とパンイチ姿で顔を突き出して叫んだ。

イヨシと私よりも早い時間から飲んでいたきじまっちはテンションが狂っていたのである。

私は笑いながら、きじまっちの右頬を軽く張る。

ペチッと音がすると、

「そんなもんか?! グーで来い!」とおかわりを要求した。

その顔は赤く目は充血し、歯を食いしばっている。

さすがにグーで殴るわけにもいかずに笑っていると、パンイチのまま布団にダイブして転がり始めた。

そこから3人で何を話したのかあまり覚えていない。

とにかくイヨシが寝てから、きじまっちと話をしたのは覚えている。

小説を書いてみてどうだったか、どういう話を書きたかったか、自由律俳句や短歌や詩の話。

朝方、限界を迎えて4時頃に寝た。

【2015.10.19 (Mon)】 文章合宿 // TRACKBACK(0) // COMMENT(4)
第2回文章合宿まとめ

第2回文章合宿について、ガガッと勢いだけで書いていこうと思う。

なんかこういう記事書くの苦手だなと思う。

だから彼らの記事のリンクをメインってことにするか。




文章合宿とは、文章を書く者達が宿に泊まり込み、ひたすらに文章を書くという催し。



参加者は以下の3人。


ブログ「仕事しながらどこまでできるの?」、通称シゴキルからイヨシ。

ブログのタイトル通り、仕事をしながら小説を書いている男で、前回、そして今回の合宿のプロデューサーである。

世界が機械に支配されて人類が滅亡することを望んでいる。

>>合宿について


ブログ「ALTERNATIVE STREAM」、通称おるすとから機島永介さん(機島っち)。

小説や絵や音楽も作るマルチな男で、それら全ての要素の集合体が機島っちである。

つい数カ月前に初めて出会ったが既に馴染んでしまった。

>>文章合宿簡易報告書


>>文章合宿で書いた掌編 13作


>>2015年 文章合宿2を題材にした一連のフィクション

機島っちの掌編13作も、一連のフィクションも本当に凄い。マジでゴイス。

私も登場人物になってるけどいいキャラしてんだよね。



彼ら2人は小説を書く人で、隠したナイフでいつか刺すこと(=プロ作家になること)を目論んでいる。

彼ら2人の文章は、“文芸”といった感じでとても高尚なものに思える。

そして当ブログから私。ブログにゲームのことや与太話をしこしことUPするただのブロガー。

小説も絵も音楽も作れない、人類の滅亡も望んでいない、ないない尽くしのaihara。

なぜこのメンツに私も入っているのか、自分でも良くわからない。



ちなみに第1回文章合宿については、右のカテゴリ「文章合宿」でどうぞ。

軽く振り返っておくと、1回目の合宿は山谷。

日雇い労働者が集まるという山谷一帯は、スラムで、この世の終わりで、終末だった。

3畳の狭っ苦しい部屋に大の男が3人集まり、グイグイ酒を飲み、カタカタと文章を打ち込んだ。

腰が痛かった。



狭い、という前回の反省を踏まえた合宿プロデューサーのイヨシは、今回、葛飾区の青砥に宿を取っていた。

料金が安く外国人がよく泊まる。いわゆるホステルだ。

光の速さを超えて早く来い、という酔っ払いのメッセージを受け取った私は「タキオンになります」と返信して光よりも早く家を出た。



青砥駅前はそれなりに人がいて、さすがの京成線と言うべきか駅周辺には安居酒屋が集まっていた。

それらの誘惑を振り切って宿を目指す。

山谷よりも不穏な印象はなく、のどかな下町といった風情である。




駅から15分ほど歩いたところにその宿はあった。

玄関の茶色の引き戸を開けると、下には半畳ほどのマットが敷かれている。

入ってすぐにロビーで、台所や受付用のPCやソファーが置いてあり、どうやらマットは靴を脱ぐ場所らしいことが分かった。

手の届く範囲にスリッパが積まれた箱があり、その隣には「下駄箱」というには些か外国風の、背丈ほどの「シューズラック」とでも呼びそうなものがある。

出迎えてくれた2人のスタッフは、年齢不詳のお姉さんと国籍不明のお兄さんで、彼女らを相手に受付を済ませた。

部屋に通されると、そこは畳の部屋で既に3つの布団が敷かれている。

5つの布団が敷けるくらいの広さで、本来は5人まで泊まれる部屋を今回は3人で、ということらしい。

私よりも20分ほど早く着いていた彼らは、既に上野でひとしきり飲んでいたため呂律が怪しかった。



初日は人には言えないような話をしたくらいであまり文章を書かなかった。

しかし、2日目は違う。

みんなこの合宿の本来の目的と向き合っていた。



イヨシは今書いている小説の続きを書き、機島っちは30分で1編の小説を12本書く、「千本ノック」を敢行。

私はブログの記事を書いた。

イヨシと私は、機島っちに小説のテーマを求められ思い付きでテーマとなるワードを伝え、千本ノックに花を添える。



一心不乱にキーボードを叩き続ける機島っち。取り憑かれたような集中力だった。

私は24時間営業の激安弁当屋で、自分と機島っちの飯を買い(奢り)、ふらふらと夜の青砥の街を歩いていた。

考え事をしながら。

ブログのこと、合宿のこと、彼ら2人のこと、この先のこと、前々から思っていたこと。



僕は物語を書きたいんだ。ブログはその一環だ。

ブログを始めたのもANTIさんのブログが面白かったからで、なぜ面白いかと考えると「物語」があったからだ。

ボス狩りという明快なストーリー、巧みな言葉選び、力強いメッセージ、どれもが高次元で、それは上質な連載小説のようだった。


読者にさまざまな感情を与え、面白がってもらうためには「物語」が要る。それも巧みな「物語」が。

多くの感情は「物語」を租借した結果として生まれる。

映画やゲーム、小説、歌は分かりやすい「物語」があり、景色や歌詞の無い曲でさえも人は自分の解釈で「物語」を見出す。

もちろん「物語」だけでは足りなくて、どう表現するかという「見せ方」も大事。

むしろ「見せ方」は、その作品の質を最も左右する要素だろう。

ただの文章を“文芸”たらしめるのはここにあるのかもしれない。



私は機島っちの生み出す文章が好きだ。

奇抜な発想、ヘンテコな物語を纏め上げる彼を尊敬する。

それをイヨシは修練の賜物だと言った。

その通りだと思う。

僕には修練が、経験が圧倒的に足りない。

足掻いて、悩み抜いて、歯を食いしばって文章を書いた経験が足りない。



コンビニに寄ってから宿に戻ると、機島っちは相変わらずキーボードを叩いていてイヨシは寝ていた。

ガムと眠眠打破を横になっているイヨシに渡す。緩慢な動作で受け取り、何やら不明瞭に礼の言葉を発したかと思うと、取り出したガムを噛みながら依然として横になっていた。

機島っちはちょうど一段落着いた様子で、チキン南蛮弁当を受け取り、もさもさと無言で食べ始めた。

私はその光景をいいなぁと思った。

弁当を食い、ビールを流し込みを繰り返して徐々に意識を集中させていく。



ガチリ。

重い金属が擦れるような音が、頭の中で確かに響いた。

それは鍵のようでもあったしスイッチのようでもあった。

とにかく私は彼らを見習って書くしかない。

EverNoteを開き、書くテーマを確認する。

必要になる画像を編集しリネームする。

文章を書きながら入れ込みたいフレーズをメモ書きし、構成を組み立てる。

いつの間にイヨシも起きてPCに向かっていた。

キーボードを叩く音だけが部屋に響いた。




「ふぅ」

沈黙を破ったのは機島っちだった。

小説千本ノックが終わったらしい。

早速読んで感想をくれという。

スタンドアロンの機島ノートPCに、私のUSBメモリにテキストをコピー。イヨシにも渡す。

13本の文章はどれも30分で書いたものとは思えなかった。ワーストに決まった「古民家」でさえ凄いと思う。

「冷蔵庫」や「弁当屋」は、まさに私が書いてみたいような文章で、ほんの少しだけ嫉妬はするものの、ただスゲーなこの人は、と思った。

文字数は2万を超えていた。




合宿最終日の朝。

人の気配で目が覚めるとイヨシと機島っちは既にPCに向かっていた。

時計は8時頃。

昨晩、2人が寝てから3時間は起きてブログの文を書いていた。4時間ほど寝たことになる。

結局、イヨシは1万数千字。私は1万字弱を打ち込んだ。

「キジロット、お前がNo1だ」ということになった。





合宿は終わってチェックアウトの10時をオーバーして外に出る。

外は久しぶりに雨が降っていない。

上野で打ち上げをすることにした。

私はまだスイッチが入ったまま。

だから打ち上げで上野の大統領に行ってからも、何かそういう話をした。

文学とエンタメの違いとは、話題の芥川賞について、3人の故郷青森のこと、太宰治のこと、太宰の「津軽」のこと。

文章合宿っぽい話題だった。



後日、第3回文章合宿の話がイヨシからあった。

機島っちの提案から、今度の合宿には各自小説を持ち寄ってそれぞれ評価しようということになった。

私は小説を書いたことが無いんだがそんなことは無視された。

次の合宿は10月16日。

書けるだろうか。とても不安だ。

ちなみにまだ全く手付かずだ。


*****

機島っちに今回もお土産の小説をいただいた。

もらった本は平山瑞穂「ここを過ぎて悦楽の都」というハードカバーの小説。

感想についてはいずれ。

おれも何かお土産持っていければ。

【2015.10.08 (Thu)】 文章合宿 // TRACKBACK(0) // COMMENT(4)
タオルとTシャツの親和性
ンコンコン。

ドアが強めにノックされる音で目が覚めた。

その音ではっと目が覚めたが、同時に落胆もしていた。

明らかに美少女が叩くような、麗しく嫋やかなノックではなかったからである。

私はチェックアウト時間が迫っていることを瞬時に悟り、ノックの主が宿の関係者であることも理解した。

「はーい!」

寝ぼけてはいたがなるべく明瞭な声で返事する。

起きてましたよ風な、そんな声を出したつもりだった。

ドアを開けると、そこにはイヨシが立っていた。

「おう、まだ寝てたのか」

ああ、うん。

と、テンション低めに返事をした。

「そろそろチェックアウトだぞ」

バタン。


20150719_02.jpg
(スカイツリーが見える風景)


時計を見ると9時半。

チェックアウトは10時だ。

身支度をして部屋を後にする。

思えば、不便な宿であった。

値段相応と言えばそうだが、3畳の部屋、空いてるコンセント無し、門限23時、風呂は21時30までという状況だった。

部屋にはほんの小さな小さな、テーブルと呼ぶにはおこがましいような「台」が置いてあった。

その「台」をやはり3畳のイヨシの部屋に各自で持っていき、大の男3人がキーボードを叩く。

足も伸ばせぬ、伸びも満足に出来ぬタコ部屋で、我々はせっせと文章を量産した。

いや、量産したと言えるのは私以外の2人であろう。

私は朝から酒を飲むのに、ツマミを食うのに一生懸命で、結局は大した分量を書けなかった。

ブログ記事1つの2000字少々と、別な記事1000字くらいか。

イヨシは12000字ちょいとブログに書いているが、それでも全く足りなかったそうだ。

1記事30分なんて達成できないどころか、なんとも情けないことになった。

cafe.jpg
(近くにある知る人ぞ知る珈琲店、カフェ・バッハ)


はとにかく暑かった。

上からの日光と下からのアスファルトの照り返しで暑いし息苦しい。

南千住駅前で日高屋に入り、飲み食い。

ハイボールでこの合宿を締めた。




振り返ってみると、機島っちは酒に参っていた。

1日目、即興小説を書いてる時もグッタリしていたし、ウイスキーの小瓶をラッパ飲みしつつ、

「なんで(ウイスキーを)グラスに入れたりするの?カッコつけてるの?」とか言っていた。

アレが効いたのは間違いない。

そんな酔っぱらいでも私はなんだかいいなと思った。

何が、というわけではないが彼の雰囲気が好きだった。

寡黙な男が酔っ払った時にだけ見せる仲間意識。

私のつまらない言動に笑ってくれるのも有り難かった。

ただ、あの派手なタオルはどうかと思ったが。



機島っちは「鬼ころし」を常飲しているとブログにも書いている。

100円の小さいパックにストローを刺してチューチュー吸うらしい。

私も日本酒は大好きだが、正直、鬼ころしは進んで飲もうとは思わない。

つーか、遠い日に飲んだ鬼ころしの味をよく覚えていない…。

「鬼ころしってうまいの?」と聞いてみると、彼はハニカミながら「まずいよ!」と答えた。

なるほど、機島っちにとってはうまいまずいの飲み物ではないらしい。

あ、お土産に鬼ころし買ってったのに渡すの忘れてた…。

20150719_03.jpg
(渡し忘れた鬼ころし)


機島っちを見て、イヨシを見てわかったことがある。

彼らは文章を書いている時の集中力が違う。

私は1つの文章を書く時に、あっちこっち調べたり音楽を聞いたりして書き続けるということがない。

あれはきっと文章の中にダイブしているんだと思う。

400ダイバー<フォーティーゼロダイバー>(400字原稿用紙なので)とでも言うか。


diver.jpg
(20×20=400マスの原稿用紙に潜る者ハチワン400ダイバー)


日暮里駅でそれぞれに別れ、私は大塚を目指した。

ここまで来たのだから、大塚の地酒屋こだまには顔を出さねばと思っていた。

店主のたけさんは相変わらずエネルギッシュに動いていた。

初対面のスタッフこーへーさんとも挨拶をして雑談。

今年で地酒屋こだまは5周年だそうだ。

うへぇ、もうそんなになるのか。

そういえばブログのリンクしますよったら、いいよと返答もらったのでリンクしよう。



20150719_01_.jpg
(雨上がりの山谷。スカイツリーと虹の共演。虹見酒。)


家に着くと5時を回っていた。

面白い数日だった。またやりたいものだ。

今度は少し酒を控えて、また鬼ころしを持って。

何だかんだで疲れていた私は砂のように眠った。


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二人の合宿レポもついでにリンクしておこう。

イヨシ
>> 悶える
>> 朝、オールド

機島っち
>> お留守番
>> 真夏の合宿黙示録 ~僕たちは花火を見れなくて、火花を呪うんだね~



【2015.07.20 (Mon)】 文章合宿 // TRACKBACK(0) // COMMENT(2)
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