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2月の歌
ベートーヴェンの第九が好きだ。
中学生の頃に初めて地元のホールで聞いて感動したのを覚えてる。
たしか友達に誘われて、年末に聞きに行ったんだ。それから第九のCDをよく聞いたし、なぜかエヴァンゲリオンで第九を使ってたしで、自分なりにカタカナの歌詞を耳コピして歌ったりもしてた。

いつか人の前で歌いたいなと思ったのは「ぼくらの第九殺人事件」という小説を読んでからで、この本の中では主人公たちが市民合唱団に入って第九の練習をする姿が描かれる。少しずつ第九の歌詞の意味を知って、仲間たちと気持ちを入れて練習を重ねていくのが良かった。そして冬、年末感。冬の厳格さと第九の荘厳さが合うんだと思う。
その後もずっと第九を聞いて生きてきた。
嬉しいとき楽しいときはフロイデと口ずさんで世界の素晴らしさに触れた気分になった。

大人になって、当時付き合っていた彼女とクリスマスイブに第九を聴きに行ったりもした。
僕の第九熱に彼女はウンウンと頷いてくれたっけ。

初めて聴いてから20年近く経って2017年2月19日、僕は新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏と一緒に、第九を歌うため墨田区の両国国技館にいた。

約半年の期間で週に1回、浅草のリバーサイドホールに集まって練習をした。
聴き馴染んでいた第九合唱は、実はソプラノパートを主に覚えているだけでテノールともなれば新たに覚えることになる。正直、メロディーを覚えるのも結構苦労したがパート別練習のCDを何度も聞き込んで覚えた。
いろんなところに気をつけながら歌うと言えば簡単だけど、合唱はとにかく緻密だった。僕は歌が好きだけどこんなに緻密に歌ったことがない。緻密と言えば、慶應大学の合唱部の歌を聴きに行ったんだけど、やはり緻密で、声も楽器であることを再認識させられた。

色んなことがあって、僕は本番に臨んだ。
既に彼女も猫もいなくなってしまった後だった。
仲本というパンクな住人はいたが、クラシックに興味があるようなタイプでもない。ベートーヴェンよりUKロックなベーシスト、金髪のパンクスはベートーヴェンをたぶん聞かない。

国技館の升席で前日のリハーサルをこなし本番の日。
少し肌寒い日だった。僕は黒いスーツに白いシャツ、白蝶貝のカフスボタンを身に付けて、ポケットに蝶ネクタイを入れて家を出た。
日曜の朝の8時台でもまぁまぁ人がいて、乗り換えの秋葉原でもさすがに人が多かった。両国駅について大きい相撲取りのパネルを横目に改札を出て、国技館へと向かう。
入り口で弁当を受け取り、前日にリハをした升席に着席する。升席は3人が座れる広さで、2人の50歳代くらいの先輩と軽い挨拶をしてゲネプロ。
マエストロの下野竜也氏以下、新日本フィルの面々の音出しから僕は少し感動して、国技館の上の方を見つめていたりした。
プロの音楽を間近で聴けるというだけで、素晴らしい体験だと思った。

昼を過ぎて弁当を食べた頃、蝶ネクタイを首元に着けて目を閉じた。
ここまできたらあとはもう歌うのみ。

会場には元彼女がきているはずだ。
僕は色んな気持ちがあったけど、それら語り尽くせないたくさんの言葉を伝えるには、この第九を聴いてもらうのが一番だと思いチケットを送った。
第九はこの世のあらゆるものを内包する深い音楽だ。「人類最高の芸術作品」とも呼ばれるほどだ。
感謝や心配や後悔やエールを、もっと言えば僕の30年余の人生をこの10分少々の歌に凝縮して詰め込んだつもりだ。
奇しくも僕がこの前の文フリで書いた小説のような展開になっているのが不思議な気分だった。

終わりに近づくに連れて「ああ、もう終わってしまう」と気持ちが湧いてくる。
どんな時間にも、辛くても楽しくてもいつか終わりがくる。
火花のように一瞬の時間。

音楽が鳴り終えて拍手に包まれながら、明確な理由がない涙が流れていた。
これまでの人生やこれからの人生を思うと、なぜか分からないが涙が溢れていた。
それは肯定感に包まれた涙だったと思う。

解散してからも頭の中ではいつまでも第九が鳴り止まない。
僕は少し曇った空の下、両国駅に向かった。

【2017.03.06 (Mon)】 日常メモ // TRACKBACK(0) // COMMENT(0)
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